「サラリーマン向け新築アパート投資法」は、管理会社に運営を任せることができることが利点です。とはいえ大家になったのですから、どうせならスキルアップをしたいものです。そして、管理会社に「できる大家さん」と思ってもらえることがアパート経営の秘訣ともいえるでしょう。
満室対策

賃貸業の大敵はなんといっても空室です。入居者にできるだけ長く住んでもらうことがポイントになります。ここでは満室を維持するための対策を解説していきます。
満室対策は、入居者のCS(顧客満足度)の維持・向上がカギとなります。まずは清掃の徹底が基本です。多少、建物が古くなっても清潔さが維持されていれば、大きな不満にはなりません。そのためにはゴミ対策も重要です。ここが最低ラインとなります。
次に、住みやすさ、快適さの演出を心掛けます。四季折々の季節感の演出は心を和ませます。お正月の門松、子供の日の鯉のぼり、年末のクリスマスツリーなど、玄関先を演出するだけで、おもてなし感が高まります。管理会社に積極的に提案してみましょう。
賃貸契約には2年ごとの更新があります。入居者に気持ちよく更新してもらうために、大家のお礼の気持ちとしてプレゼントなども一案です。ルームクリーニング券や食料品や生活用品などを贈ると喜ばれることでしょう。
転勤などの止むを得ない退去は防げませんが、住み飽きたから、というような退去理由はできれば避けたいものです。
建物の保守、修繕

退去が発生すると修繕が必要になります。築浅の間は問題ありませんが、10年も経てばどうしても傷みが目立ってきます。次の入居者のことを考えてリフォームすることになりますが、気を付けたいのは費用対効果です。できるだけ綺麗にすべきですが、経営である以上過剰な費用投下も考えものといえます。
投下コストは家賃の2~3カ月を目安にします。5万円の家賃なら1回あたり、10~15万円程度が基準になります。なるべくコストを掛けずに競合力のあるレベルを目指して、管理会社と妥当なリフォームを相談しましょう。
また、ついでに人気設備の動向なども管理会社に聞いてみましょう。インターネットの使い放題やWiFiルーターも喜ばれそうです。アクセントクロス、ドレスミラーやシューズインクローゼットなど、費用対効果の高い提案を受けられるかもしれません。
日々の修繕だけではなく、12~15年経過すると大規模修繕と呼ばれる屋根と外壁を対象とした建物全体の補修が必要となります。この頃になると防水機能の劣化などが顕在化するのです。屋根や外壁、鉄部などに防水塗装などの処置を行います。最近はサイディングボードというパネル貼り工法も増えており、この場合はモルタル塗りと違い、ほとんど塗装は不要ですが、目地と呼ばれる継ぎ目のシーリング材の劣化の補修をします。
きちんとメンテナンスしていれば、物件はローン完済後も、末長く賃料収入を生んでくれます。長期にわたる安定収入、それがアパート経営の醍醐味です。
家賃の時系列把握

アパート経営は時間軸の長いビジネスです。当面は家賃を見直す必要もないでしょうが、賃料の長期の傾向についても知っておきましょう。家賃は新築時を上限として経過とともに徐々に下がっていきます。平均で年間0.5~1%程度下がるイメージです。毎年少しずつ下がるというより、近隣相場に合わせて、数年毎に5%ずつ階段状に下がることが多いです。
ある程度、家賃が下がってきたら、総家賃収入をその時のローン残額で割って、残債利回りを計算しておきます。その利回りが市場価値との比較の目安となります。新築時から10%以上下落してきた場合は、そろそろ大幅な設備増強や外壁塗装でバリューアップする時期かもしれません。市況をみながら管理会社と相談しましょう。
日々の運営は管理会社にお任せでもよいですが、いざという時に交渉、提案できることが重要です。管理会社に一目置かれる「できる大家さん」を目指しましょう。