アパート経営において利回りは物件の収益性を表す重要な指標です。「利回りの減少=収益性の低下」であるため、オーナーは利回りを下げないように対策を取る必要があります。
そこで本記事ではアパート経営で利回りが下がる3つのリスクや、その対策について解説します。本記事を読んでいただければ、アパート経営で考えるべきポイントがわかるため、長期的な計画を立てられるでしょう。
目次
アパート経営で利回りが下がる3つのリスク
アパートの利回りを上げるには、利回りが下がる要因を明確にして、適切な対策を考えなければいけません。本章では、アパート経営で利回りが下がる代表的なリスクを3つ解説します。
- 空室リスク
- 金利上昇リスク
- 家賃下落リスク
①空室リスク
空室リスクとは、入居者が決まらず、賃料の発生しない期間が生じるリスクです。
たとえば、物件価格が5,000万円で部屋数が6部屋、家賃がそれぞれ5万円のアパートの利回りは以下のとおりです。
5万円×6部屋×12ヶ月÷5,000万円×100=7.2% |
しかし、1部屋が空室になると、利回りは大きく低下します。
5万円×5部屋×12ヶ月÷5,000万円×100=6% |
ローンを組む場合、家賃収入を得られなくともローンは返済しなければいけません。「ローン返済額>家賃収入」の状態になると、自己資金から支払うことになるため、生活にも支障が出てしまうでしょう。
②金利上昇リスク
金利上昇リスクとは、ローンの借入金利が上昇して月々のローン返済額が増加するリスクです。
金利は金融政策によって変動します。ローンの借入時に変動金利を選択した方は、金利変動に伴い返済額も変わるため注意しましょう。
たとえば、5,000万円を金利1.5%、返済期間35年で借りた場合の返済額は153,092円/月です。しかし、同条件で金利が2%に上昇すると返済額は165,631円/月となります。
③家賃下落リスク
家賃下落リスクとは、家賃が下落してアパート全体の収入が下がるリスクです。アパートの家賃が下落する主な理由は以下のとおりです。
・築年数が経過して物件の需要が下がる
・近隣に築浅のアパートが建築される
・入居者から値下げを要求される
上記のような理由で家賃収入が減少すると、アパート経営も苦しくなってしまいます。
アパート経営で利回りを上げる対策
利回りが下がるリスクがわかったところで、本章では具体的な対策を3つ紹介します。
・賃料を高く設定する
・自己資金を多く入れる
・さまざまなコストを比較検討する
利回りを上げるには、収入を上げるかコストを下げるしか方法はありません。利回りが低下している要因にあわせて、対策を実施してみましょう。
賃料を高く設定する
収入を増やして利回りを上げるには、賃料を高く設定する必要があります。しかし、闇雲に高い価格で募集をかけても入居者は決まらないため、以下の方法を実践してみましょう。
・ワンルームタイプのアパートにする
・経年劣化を防ぐために維持修繕を徹底する
ワンルームタイプとファミリータイプを比較すると、平米あたりの単価が高いのはワンルームタイプです。ワンルームタイプと同じ単価に設定すると、ファミリータイプは高額になり、入居者が限られてしまうためです。
もちろんアパートがあるエリアの需要をもとに判断しなければいけませんが、ワンルームタイプで部屋数を増やしたほうが利回りは高くなります。
また、築年数が経過してからは維持修繕を計画的に実施することで、家賃の下落率を下げられます。大規模なリノベーションを実施すれば、現状よりも高い家賃での入居も期待できるでしょう。
自己資金を多く入れる
アパートを購入する際に自己資金を多く入れることで、利回りの低下を防げます。ローンの割合を下げれば、金利上昇による影響が少なくなるためです。
しかし、まとまった自己資金を用意するのが難しい方も多いでしょう。そのような方には、繰り上げ返済がおすすめです。
繰り上げ返済はローンの元本部分の返済に充てられます。万が一借入金利が上昇したとしても、元本部分が減っているため、受ける影響を少なくできます。
さまざまなコストを比較検討する
アパートを経営する際には、さまざまなコストを比較してコストを抑えましょう。具体的には以下のようなコストです。
・ハウスメーカーの建築費(新築の場合)
・管理会社の管理委託費
・外壁塗装の費用
・ローンの金利
かかる費用を抑えることでアパートの実質利回りが高くなります。
アパート経営の利回りに関する注意点
アパート経営では「利回りの高さ=収益性の良さ」ですが、以下のような注意点があります。
・表面利回りではなく実質利回りで計算する
・利回りの高さだけで選ばない
・購入後も近隣の利回り相場を把握する
これらの注意点を理解せずにアパート経営を始めると、手残り金額が予想よりも少なかったり、想定していた収益を得られなかったりする恐れがあります。
本章では利回りに関する注意点を詳しく解説するので、しっかりと理解したうえでアパート経営を始めましょう。
表面利回りではなく実質利回りで計算する
アパート経営は実質利回りで計算すると、より具体的な手残り金額を把握できます。表面利回りと実質利回りの違いは以下のとおりです。
表面利回り:購入価格に対する年間家賃収入の割合
【計算式】年間家賃収入÷物件価格×100 |
実質利回り:物件購入時の諸費用やランニングコストを加味した利回り
【計算式】(年間家賃収入-ランニングコスト)÷(物件価格+購入時の諸費用)×100 |
物件広告などで記載されているのは表面利回りです。購入する際には、ランニングコストなどを明確にして、実質利回りをもとに比較検討しましょう。
利回りの高さだけで選ばない
利回りの高い物件は魅力的ですが、利回りの高さだけで選ぶのは危険です。
投資の世界ではリスクとリターンは表裏一体の関係にあり、利回りの高い物件ほどリスクも高いためです。
たとえば、築年数が経過したアパートは物件価格が安くなっているため、利回りが高い傾向にあります。しかし、その利回りはあくまでも現状の利回りであり、現在の入居者が退去したあとも維持できるかどうかはわかりません。
築年数が経過したアパートは需要が低いため、すぐに次の入居者を見つけるのは難しいでしょう。結果として空室期間が長くなり、利回りが低下するリスクがあります。
購入後も近隣の利回り相場を把握する
アパート経営は購入して終わりではありません。
不動産投資と聞くと自動的に家賃収入が入ってくるイメージを抱く方もいますが、実際には競合物件の家賃と比較して家賃を設定したり、入居者トラブルに介入したりと、やるべきことは数多くあります。
入居者に選んでもらえるアパートにするためにも、常に経済情勢や近隣の相場を確認しながら、1つの事業としてアパート経営を行いましょう。
まとめ
本記事ではアパート経営で利回りが下がる3つのリスクや、その対策について解説しました。
利回りを上げるには、利回りが下がる要因を明確にして、適切な対策を実施する必要があります。しかし、難しく考え過ぎる必要はありません。なぜなら、収入を上げるかコストを下げるかの2択しかないためです。
本記事で解説した具体的な対策を参考にして、アパート経営の計画を立ててみましょう。