アパート経営

アパート経営は副業にあたるのか?
会社員・公務員それぞれの場合で解説

会社で副業が禁止されており、アパート経営を始めていいのか不安に感じている方も多いのではないでしょうか。

結論から言うとアパート経営は副業に該当しません。しかし、同じアパート経営でも規模が大きくなると事業(副業)とみなされる可能性があるため注意が必要です。

ここでは、アパート経営が副業とみなされる基準を会社員・公務員に分けて解説します。本記事を読んでいただければ、副業を禁止されている企業に勤めている方も安心してアパート経営に取り組めるでしょう。

アパート経営を始めるべきか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

アパート経営が副業にあたらない理由

アパート経営が副業にあたらない理由

アパート経営が副業にあたらない理由は以下の3つです。

  • アパート経営はあくまでも投資・資産運用
  • 副業を禁止・制限する要件に該当しない
  • アパートを相続する場合などもある

それぞれについて解説します。

アパート経営はあくまでも投資・資産運用

アパート経営はあくまでも投資・資産運用であるため、事業(副業)に該当しません。

副業禁止の会社員であっても、投資・資産運用は問題なく行えます。政府としても貯蓄から投資への流れを生み出すために、iDeCoNISAといった制度を整備して推奨しています。

副業を禁止・制限する要件に該当しない

2018年1月に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が作成され、副業が解禁になりました。

これによって企業は原則として副業・兼業を認める方向で就業規則を見直し、労働者が副業・兼業を行える環境を整備することになりました。

しかし、モデル就業規則のなかには企業側が副業・兼業を禁止または制限できる要件があります。

  • 労務提供上の支障がある場合
  • 企業秘密が漏洩する場合
  • 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
  • 競業により、企業の利益を害する場合

上記のような要件に該当する場合は副業を実施できませんが、アパート経営はいずれにも該当しないと言えるでしょう。そのため、アパート経営は企業に縛られることなく、自由に実施できると判断できます。

アパートを相続する場合などもある

アパートなどの不動産は、親族が亡くなった際に相続する場合があります。

アパート経営が副業に該当するのであれば、副業が禁止の会社に勤めている場合、相続した時点で規約違反になってしまいます。

このように不動産は予期せぬタイミングで取得するケースがあるため、一般的にアパートを含む不動産経営を禁止している企業は少ないのです。

アパートを相続する場合などもある

アパート経営が副業とみなされる基準

一般的に、アパート経営はあくまでも投資・資産運用の一環であるため、副業に該当しません。しかし、アパート経営が副業とみなされる場合があるため注意しましょう。

それは、アパート経営の規模が大きい場合です。本章ではアパート経営が副業とみなされる具体的な基準を会社員と公務員に分けて解説します。

会社員の場合

会社員は、事業的規模でアパート経営をしている場合、副業とみなされる恐れがあります。事業的規模とは、以下のような状態です。

  • 貸与できる独立した室数がおおむね10室以上であること
  • 独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であること

たとえば、1棟のアパートで部屋数が10室以上ある場合は、それだけで事業的規模とみなされてしまいます。

一方、アパート1棟で部屋数が4部屋の場合は、2棟までであれば副業に該当しません。

なお、これらはあくまでも国税庁が設けている基準です。各企業の就業規則では別の取り決めが設けられている可能性もあるため注意しましょう。

とくに銀行など金融系に勤めている方は、投資・資産運用に制限が課されています。アパート経営が禁止されていないかは、必ず確認しましょう。

公務員の場合

公務員は立場上、副業に関して会社員よりも厳しい条件が課されています。公務員のアパート経営が副業に該当するのは、以下のような場合です。

  • 貸与できる独立した室数がおおむね10室以上であること
  • 独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であること
  • 家賃収入が年額500万円以上であること

公務員はアパート経営に関して、家賃収入の上限が定められています。さらには、以下のような条件もあります。

  • 入居者の募集、家賃の集金、不動産の維持管理等の賃貸に係る管理業務を事業者に委ねること等により、職員の職務の遂行に支障が生じないことが明らかであること
  • 公務の公正性及び信頼性の確保に支障が生じないこと

公務員がアパート経営をする際には、管理会社へ管理委託するなど、本業に支障が出ないことを明らかにしなければいけません。

アパート経営を始める前のポイント

アパート経営を始める前のポイント

原則としてアパート経営は投資・資産運用ですが、場合によっては副業に該当します。副業をしていることが知られると、ペナルティを受けることもあるでしょう。

本章ではアパート経営でペナルティを受けないように、アパート経営を始める前の2つのポイントを解説します。

  • 就業規則を確認する
  • 事前に申請して許可を取る

就業規則を確認する

アパート経営を始める前には、必ず就業規則を確認しましょう。就業規則を確認することで、以下のような内容がわかります。

  • そもそも企業として副業を認めているのか
  • どのような副業であれば認められるのか
  • 副業禁止の場合、どのようなペナルティが設けられているのか

仮に解雇や懲戒免職のような重いペナルティがある場合、アパート経営が処分対象になるのか確認しなければいけません。

事前に申請して許可を取る

副業が許可制の場合は、必ず事前に申請して許可を取りましょう。

アパート経営は投資・資産運用であるため、事前の許可が不要な場合もありますが、確認しておくのに越したことはありません。

とくに公務員の方は、職務の遂行に支障が生じないことを明らかにする必要があります。管理委託するのかなども決めたうえで申請しましょう。

また、急な相続や生前贈与で事業的規模のアパートを取得する場合なども、事前に申請しておくとトラブルを避けられます。

まとめ

本記事では、アパート経営が副業とみなされる基準を会社員・公務員に分けて解説しました。

アパート経営は投資・資産運用であるため、副業には該当しません。しかし、部屋数が10室以上または、5棟以上のアパートを所有すると事業的規模となり、副業に該当してしまいます。

副業が禁止されている企業で働く方が事業的規模でアパート経営を行うと、ペナルティを受ける恐れもあるので注意が必要です。

アパート経営を始める前には必ず就業規則を確認して、必要な手続きを踏みましょう。