不動産投資 公開日時 : 2022.11.04 更新日時 : 2023.07.25

不動産投資の損益分岐点とは?計算の手順を具体例で解説

不動産投資の損益分岐点とは?計算の手順を具体例で解説

初めての資産運用教科書のステマ規制への対応に関しまして

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不動産投資に限らず、全ての投資や一般のビジネスでは「損益分岐点」を知ることが重要です。損益分岐点とは、収支がプラスマイナスゼロになる値のことで、その値を下回れば赤字、上回れば黒字となります。

損益分岐点を把握せずに投資するということは、利益を得られる見込みのない状況で物件に投資することにほかなりません。当然、不動産投資に失敗する危険も大きいです。
そこで本稿では、損益分岐点の基礎知識から、具体的な計算手順まで詳しく解説します。

目次

損益分岐点とは?

損益分岐点とは?

損益分岐点とは、収入と支出の差がゼロになる値、俗にいう「収支トントン」のことです。

例えば、10の収入に対して10の支出があれば、損益はプラスマイナスゼロとなります。

不動産投資に当てはめると、賃貸物件から得られる賃料や礼金などが収入に当たり、物件の管理費や銀行へのローン返済などが支出に当たります。この収支がプラスマイナスゼロであれば、少なくとも損失は発生しません。


また、損益分岐点を下げるほど利益を確保しやすく、不動産投資が破綻するリスクも低くなります。

不動産投資を成功させるためには、物件を購入する以前の段階で損益分岐点を把握しておくことが重要です。

重要ポイント

損益分岐点のシミュレーション

損益分岐点のシミュレーション

不動産投資の損益分岐点について、具体的なシミュレーションを通して考えてみましょう。このシミュレーションでは、購入条件を以下のように仮定します。

  • 物件価格:3000万円
  • 購入時手数料:物件価格の7%(210万円)
  • 頭金:物件価格の2割(600万円)
  • 借入総額:2610万円
  • 金利:年利2%
  • 借入年数:25年
  • 返済方式:元利均等返済
  • 表面利回り:8%
  • 経費率:賃料の20%

この物件を購入した場合の損益分岐点を考えてみます。

損益分岐点を把握する手順

損益分岐点を把握する手順

損益分岐点の把握は、決して難しいものではありません。以下の手順で計算すれば、損益分岐点を把握できます。

  • 運用年数を設定する
  • 運用期間の収支を計算する
  • 売却時の損益を計算する
  • ローンの残債を計算する
  • 総収支から損益分岐点を把握する

1. 運用年数を設定する

不動産投資を始める際には、漠然と物件を買うのではなく、具体的に何年間運用するかを考えることが大切です。

運用年数を設定しなければ、その期間中の収支を知ることもできず、損益分岐点を把握することはできません。

ここでは、10年間運用するものとしましょう。

2. 運用期間の収支を計算する

上記の物件を10年間運用した場合の賃料収入の合計は、

3000万円×8%×10年間=2400万円

となります。また、この期間中の賃貸経営に要した経費は、

2400万円×20%=480万円

です。

3. 売却時の損益を計算する

次に、売却時の損益を計算します。普通、物件の価値は年々目減りしていくものです。

下落率は、地域や立地、構造、築年数など、様々な条件に左右されますが、ここでは10年間で10%下落したものと仮定します。つまり売却価格は、

3000万円×90%=2700万円

となります。売却手数料は売却価格の5%ですから、

2700万円×5%=135万円

の経費も考慮しなければなりません。

4. ローンの残債を計算する

最後に、ローン返済の進捗と残債を計算します。

詳しい計算は割愛しますが、上記の条件で借り入れた場合、年間の元利返済額は133万6853円。10年間の返済総額を約1330万円のうち、元本返済分は約890万円です。

したがって、返済を10年間継続した際の残債は約1720万円となります。

5. 総収支から損益分岐点を把握する

2~4の計算を総合すると、この物件の損益分岐点が分かります。まず、売却を含めた10年間の総収入は以下の通りです。

賃料収入2400万円+売却価格2700万円=5100万円

次に、10年間の総支出を計算します。この時、購入時と売却時に手数料がかかることもしっかり計算に含めます。

経費480万円+入時手数料210万円+売却時手数料135万円+ローン返済1330万円=2155万円

売却時にローン残債を一括返済することも考慮すれば、この物件の10年間の総収支は以下の通りです。

総収入5100万円-総支出2155万円-ローン残債1720万円=1225万円

この計算により、この物件は「収支トントンになるまで1225万円の余裕がある」ということが分かります。

例えば、突発的な支出や物件価格の大幅な下落によって10年間で1225万円の損失が発生した場合に収支がトントンになります。これが、この物件の10年間の損益分岐点です。

損益分岐点

損益分岐点で不動産を選ぶ

損益分岐点で不動産を選ぶ

不動産投資を始める際には、損益分岐点の観点から不動産を選ぶことが欠かせません。

損益分岐点が低い(利益を確保しやすい)物件を選ぶことによって、損失のリスクを減らすことができます。

損益分岐点から見た「良い不動産」の特徴は以下の通りです。

入居率を維持しやすい不動産

損益分岐点は運用期間の総収支から計算します。当然ながら、収入が大きく支出が少ない物件ほど損益分岐点が低くなります。そこで重要となるのが、入居率です。

入居率を維持しやすい物件であれば、運用期間中の賃料収入を高い水準で維持でき、総収入も大きくなります。

古すぎない不動産

損益分岐点の観点で考えると、新しい物件ほど良い物件と言えます。

もちろん、購入価格との兼ね合いがありますから、古すぎる物件は避けると考えるのが妥当でしょう。古い物件は人気が低下しやすく、空室率に悩むことが多いです。

空室率が高くなれば家賃の引き下げによって対処する必要があるため、収入の維持が困難になります。もちろん、古いほど設備の不具合も起きやすく、経費率が高くなる傾向があります。

つまり、古い物件は総支出の増大につながりやすいため、損益分岐点から見て好ましくないのです。

将来性がある不動産

最後に、不動産の将来性。

最も将来性に優れているのは、土地の価値が長期的に高まっていく不動産です。そのような不動産に投資すれば、売却時に利益を得られる可能性があり、損益分岐点は一層低くなります。


ただし、価値が上がる不動産を見極め、なおかつ妥当な価格で購入するのは容易ではありません。そこで、物件価格の下落が軽微になるよう、将来性を見据えて投資することが大切です。

まとめ

「損益分岐点」と聞けば、難しく感じる人もいることでしょう。
しかし、この記事で実際に計算してみた通り、手順さえ分かれば誰でも損益分岐点を計算できます。

面白いのは、条件が変われば損益分岐点も変わることです。ある条件では損益分岐点に問題があって投資不適格でも、別の条件では損益分岐点の問題が解消されて投資適格になることがあります。

つまり、損益分岐点の観点から自分にとって有利な条件を設定し、その条件に近い物件を探したり売主や銀行に積極的に働きかけることで、不動産投資を成功に導くこともできるのです。そのためには知識や人脈、プロの指導なども欠かせません。

そこでおすすめしたいのが、将来のための資産づくり今こそ始めるべき3つのポイントです。

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