アパート経営とは 2022.12.12

アパート経営の節税には中古物件が効果的。ただし借入期間には要注意

アパート経営の節税には中古物件が効果的。ただし借入期間には要注意

アパート経営には節税が欠かせません。そこで重要となるのが、節税効果の高い物件を選ぶことです。アパート経営の場合、新築よりも中古を選ぶことによって節税効果を高めることができます。しかし、借入期間には注意が必要です。この記事では、アパート経営の節税に中古物件が効果的な理由と、借入期間に関する注意点を詳しく解説します。

目次

節税の基礎知識

アパート経営での節税を理解するためにも、まずは日本の税制の基礎知識を解説していきます。

給与所得と不動産所得は総合課税

会社員がアパート経営を始める際に注意すべきは、「総合課税」という仕組みです。会社員が会社から貰っている給料は給与所得にあたり、アパート経営によって得られる賃料その他の収入は不動産所得にあたります。複数の所得を合算して課税するのが総合課税であり、給与所得と不動産所得は合算しなければなりません。所得税は累進課税のため、アパート経営で儲けるほど税率が高くなっていきます。

2022年11月現在、所得税率は以下のように設定されています。

課税される所得金額税率控除額
1,000円 から 1,949,000円まで5%0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで10%97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで20%427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで23%636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで33%1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで40%2,796,000円
40,000,000円 以上45%4,796,000円

所得税のほかに住民税も支払う必要がありますが、住民税は一律10%のためアパート経営による税率の変動はありません。アパート経営の規模がある程度大きくなると、税率は33%、40%、45%と上がっていき、住民税を合わせると最大で55%もの税金を課せられます。それを避けるためにも、アパート経営では節税が欠かせません。

アパート経営の赤字で節税

総合課税は給与所得と不動産所得の合算ですから、アパート経営で赤字が発生した場合には、損益通算によって税金を減らすことも可能です。例えば、給与所得700万円、不動産所得200万円の会社員は、課税所得が900万円となるため税率は33%となります。

しかし、アパート経営で50万円の赤字が発生した場合、課税所得は650万円になって税率は20%に。給与所得だけであれば23%の税率が、アパート経営によって20%に下がっています。「アパート経営は節税になる」という場合、赤字による税率の引き下げや納税額の圧縮を意味することも多いです。

節税のカギは減価償却

節税効果を高めるためには、課税所得をできるだけ減らす必要があります。そのカギとなるのが減価償却です。減価償却とは、資産の取得に要した費用を一定期間にわたって経費として計上できる制度です。アパート経営にあたっても、物件の取得に要した費用が減価償却の対象となります。減価償却期間(減価償却費を計上できる期間)は物件の法定耐用年数に準じます。アパートは木造ですから、新築の法定耐用年数(=減価償却期間)は22年。

中古物件の減価償却期間は、経過年数に応じて以下のように計算します。

  • 法定耐用年数が一部経過している場合:(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×0.2
  • 法定耐用年数が全部経過している場合:法定耐用年数×0.2

毎年計上できる減価償却費は、物件の建物部分の取得費用に償却率を掛け合わせて計算します。償却率は耐用年数によって変動するため、以下の表を参考にしてください。

https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/070412/pdf/3.pdf

節税効果の高い中古一棟 

アパート経営を始めるにあたり、新築と中古で悩む人も多いことでしょう。節税効果が高いのは中古物件です。新築アパートの減価償却期間は22年間ですが、中古アパートは経過年数に応じて減価償却期間が短くなります。経過年数が変われば毎年の減価償却費も変わり、節税効果も変わってくるというわけです。これは、実際に比較してみるとよく分かります。建物部分が4000万円の新築アパートを購入した場合、22年間(償却率0.046)にわたって毎年184万円の減価償却費を計上できます。

築10年の中古アパートの減価償却期間は14年間(償却率0.072)。同じく建物部分が4000万円の場合、毎年288万円の減価償却費を計上できます。築10年の中古一棟の方が、減価償却費が100万円以上大きいのです。このように比較すると、中古アパートの節税効果の高さがよく分かるでしょう。

減価償却期間より長いローンには注意

アパート経営の節税で注意したいのは、アパートローンの借入期間です。基本的に、借入期間は長ければ長いほど良いとされます。長期融資ほど毎年の返済額が少ないため、手元にお金を残しやすく、資金繰りを回しやすくなるからです。中古アパートの経営でも基本的に同じですが、減価償却期間より長いローンには注意する必要があります。大抵の場合、中古物件への融資期間は法定耐用年数に準じるため、借入期間が減価償却期間を超過することはありません。

ただし、これは「法定耐用年数以上の融資は受けにくい」というだけで、実際に法定耐用年数を超過する融資が受けられるのも事実です。では、法定耐用年数を超える融資を受けた場合、アパート経営と節税にはどのような不都合が起きるのでしょうか。

具体的に計算してみましょう。購入条件の想定は以下の通りです。

  • 物件取得価格:5000万円(建物部分4000万円)
  • 構造:木造
  • 築年数:10年
  • 減価償却期間:14年
  • 年間賃料:400万円(利回り7.5%)
  • 借入金額:4000万円
  • 借入金利:2.0%
  • 借入期間:20年

収支を簡単にシミュレーションすると、このようになります。

(単位:万円)
 家賃収入返済減価償却費経費支払利息利益納税手残り
1年目4002662888087-55054
2年目4002662888083-51054
3年目4002662888080-48054
14年目3882662887834-12044
15年目3882660783028056-12
16年目3882660782528557-13

※家賃収入は10年ごとに3%下落すると仮定

※経費は賃料の20%で計算

※納税は所得税と住民税で20%の概算

減価償却で納税ゼロ・手残りはプラスに

この物件の減価償却期間は14年間(償却率0.072)、毎年の減価償却費は288万円です。満室時の家賃収入400万円から、経費80万円、支払利息87万円、減価償却費288万円を差し引くと、1年目の収支は55万円の赤字になります。もちろん、不動産所得に対する課税はゼロです。減価償却費は帳簿の上で計上するだけで、実際に支払うわけではありません。家賃収入からローンと経費を支払うと、最終的な手残りは54万円となります。減価償却費によって意図的に赤字にすることで、最終的な手残りをプラスにするのがアパート経営で節税するコツです。

減価償却期間が終わると…

しかし、減価償却で節税できるのは減価償却期間中(14年目まで)に限られます。15年目以降は、これまで毎年計上してきた288万円の減価償却費がなくなり、収支がプラスになるため課税は避けられません。家賃収入からローン返済、経費、そして税金を差し引くことによって、最終的な手残りはマイナスになります。14年目までは手残りがプラス、しかし15年目以降の手残りはマイナスという逆転現象が起こるのです。

これ以降もアパート経営を続ける場合、20年目にローンを完済するまでの間、毎年10万円以上の持ち出しが続くことになります。この持ち出しを事前に織り込んで収支計画を立て、現金を確保しておけば問題ないのですが、そうでなければアパート経営に支障を来します。持ち出しに耐えられずに売却を急ぐと、好条件での売り抜けも難しくなるでしょう。したがって、減価償却期間を超えるローンは慎重に検討すべきです。

まとめ

減価償却を正しく理解することで、アパート経営の節税効果が高まります。アパート経営の収支がマイナスになれば、給与所得との損益通算で税率・納税額を抑えることも可能です。

ただし、減価償却は節税の基本であり、他にも節税テクニックは様々です。投資効率を最大化するためにも、節税テクニックは積極的に活用したいところです。

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