不動産投資の損失

不動産投資の損失は短期・長期の両面で考える。シミュレーションとともに徹底解説

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投資の定義は、「収益を得ることを目的として株式や債券、あるいは不動産などに資本を投じること」です。このとき、収益を得られる可能性がある一方で、損失を被るリスクもあります。
通常、リスクとリターンは比例するものです。不動産投資にもリスクとリターンがあり、期待収益の裏側には必ず損失が潜んでいます。
したがって、不動産投資を始めるにあたっては、損失に関する基礎知識を身につけておくことが大切です。

目次

不動産投資の損失の考え方

投資における損失とは、投資の結果として利益や財産を失うことを意味します。不動産投資でいえば、賃貸物件の年間収支が赤字になることを短期的な損失、投資期間全体での収支が赤字になることを長期的な損失と考えます。不動産投資を成功に導くためにも、損失の考え方を学んでいきましょう。

短期的な損失

まず、不動産投資の短期的な損失から考えていきましょう。不動産投資における収入の大部分は賃料収入が占めています。
一方、支出は経費(管理費・修繕積立金・保険料・修繕費など)のほか、ローンの返済などによって構成されています。収支をシミュレーションし、年間キャッシュフローがマイナスになったとすれば、それは短期的に損失が発生している状態です。シミュレーションの時点で短期的な損失が発生する場合、その物件は長期的にみても損失リスクが高いといえます。不動産投資では、物件の入居者数に限界があり、賃料や物件価値が大きく上昇することも基本的にはありません。むしろ、経年とともに賃料と物件価値は年々目減りしていくため、収益性を維持するだけでも精一杯というのが実情です。

株式投資などであれば、投資期間中に突発的な騰落がしばしば起こり、「短期的には損失が発生しても、長期的には利益が得られる」ということもあります。
しかし、不動産投資は「短期的に損失であれば、長期的にも損失」が基本です。したがって、短期的な損失は特にシビアに考える必要があります。

トータルでの損失

逆に、短期的な損失を回避できるならば、トータルでも損失を回避できるのが普通です。
ただし、物件価格の下落には注意が必要です。物件の価値は経年ととも減少するため、売却価格が購入価格を上回ることはほとんどありません。投資期間にもよりますが、大抵は購入価格に比べて10~20%は下落するものです。物件価値が下がる原因には以下のようなものがあります。

  1. 経年劣化
    建物が劣化すると修繕の頻度が増え、修繕費もかさむようになる
  2. 陳腐化
    設備やデザインが陳腐化すれば、設備の入れ替えやリノベーションが必要になる
  3. 賃料の下落
    古い物件は人気が落ちるため、入居者募集のハードルが高くなり、賃料を下げる必要がある
  4. 経費率の上昇
    修繕や設備投資、入居者募集などにかかる費用が多くなり、経費率が高まる
  5. 周辺環境の変化
    周辺環境の変化によって物件の競合力が低下することがある

簡単にまとめるならば、「物件の収益性は経年とともに確実に下がる」ということです。不動産の売買は、売り手と買い手の合意によって成り立ち、買い手は必ず収益性に照らして購入価格を考ます。収益性が低下すれば購入価格も下落し、売却時に損失が発生するというわけです。このときの下落が大きいほど、トータルで損失に陥る可能性が高まります。もっとも、短期の収支の累積が長期の収支に反映されるため、短期的な損失をしっかり回避すれば、その積み重ねによって売却損も十分に吸収できるのが普通です。

具体的な収支シミュレーション

不動産投資の損失を具体的に考えるために、収支をシミュレーションしてみましょう。

短期のシミュレーション

まず、短期的な損失を把握するために、年間の収支をシミュレーションします。購入条件の仮定は以下の通り。

  • 物件価格:4000万円
  • 手数料等:280万円(手数料率7%を想定)
  • ローン総額:3280万円(頭金として1000万円)
  • 借入条件:年利2%、元利均等方式、借入期間20年
  • 年間賃料収入:240万円(表面利回り6%を想定)

この条件で購入した場合、年間での収支はマイナスになる可能性が高いです。経費率は15~20%が目安ですから、20%とすると年間の経費は48万円。ローンの返済額は年間約200万円です。

つまり、満室経営で年間240万円の賃料を確保しても、年間約8万円の損失が発生します。入居率が90%に低下した場合には賃料は216万円となり、年間32万円の損失です。

したがって、この物件の購入は見送るか、あるいは購入条件を見直して損失を回避する必要があります。例えば、売主と交渉して購入価格を下げる、銀行と交渉して借入期間の長期化を図るなどの方法が考えられます。

投資期間全体でのシミュレーション

仮に、銀行に交渉して借入期間を25年に延ばすことに成功しました。この条件であれば、年間のキャッシュフローは入居率100%で約24万円、入居率90%でも約5万円となり、短期的な損失は回避できます。

では、トータルでの収支はどうでしょうか。平均入居率90%で10年間にわたって運用し、10年後に売却するとして考えてみましょう。この場合、10年での賃料収入の合計は約50万円。売却時の物件価格が、購入価格(4000万円)に対して10%下落していたとすれば、売却価格は3600万円です。売却時に発生する400万円の損失が発生し、この損失は賃料収入を大きく上回ります。

しかしながら、これまでの10年間でローンの返済は約40%まで完了しているわけですから、売却価格でローンの残債を全て支払っても1000万円近くのキャッシュが手元に残り、トータルでの損失も回避できる計算です。このように、物件の購入段階で入念なシミュレーションを行い、短期的な損失の回避に努めるならば、トータルで損失に陥る懸念はほとんどありません。

まとめ

不動産投資の損失について、短期・長期の観点から詳しく解説しました。具体的にシミュレーションしてみると、不動産投資のシビアな一面も見えたことと思います。これから不動産投資を始める方、特に会社員の方であれば、まずは丁寧なシミュレーションを習慣化しましょう。

気になる物件をいくつもシミュレーションしていくうちに、損失になる物件とそうでない物件を見分ける力がつきます。シミュレーションの方法を含め、投資を始めるにあたっておすすめしたいのが、将来のための資産づくり、今こそ始めるべき3つのポイントです。

>>将来のための資産づくり3つのポイント

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