初めての資産運用教科書のステマ規制への対応に関しまして
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投資家によって賛否が大きく分かれる技術に「ナンピン(難平)」があります。
ナンピンは、うまく活用することによって利益を大きく伸ばせるため、積極的にナンピンする人も多いです。
一方で、ナンピンによって損失の拡大を招くことも多いため、初心者向きの技術ではないとする意見も根強いです。
ここでは、賛否両論あるナンピンの基礎知識から、正しいナンピンの具体例まで解説します。
目次
ナンピンとは?
ナンピンとは、現在の建値よりも不利な方向へ株価が動いた場合に、そこで更にポジションを取ることです。
ナンピンは、投資家によって賛否が分かれる手法です。
ナンピン肯定派の意見
ナンピンを肯定する人は、ナンピンによって平均建値が有利になることを重視します。
例えば、1000円で100株買った後、900円に下落したら10%の含み損が発生します。
しかし、ここでさらに300株買うことによって、平均建値は925円に下がるのです。
その後、目論見通り相場が上昇していけば、1000円・100株よりも925円・400株の方が大きく利益を取れるというわけです。
ナンピン否定派の意見
ナンピンを否定する人は、損失が拡大するリスクを重視します。
上記と同じ流れで、平均建値925円・400株のポジションを取った後、さらに下落したらどうでしょうか。
800円まで下がったとすれば、5万円の損失となります。
それよりも、900円に下落した時点で1000円・100株のポジションを損切りし、損失を1万円に抑えた方が賢明…というのがナンピン否定派の意見です。
正しいナンピンとは?
肯定派の意見にも、否定派の意見にも一理あります。
要は、ナンピンは諸刃の剣であって、正しく利用すれば利益を高めるのに役立ち、そうでなければ損失をいたずらに増やす恐れがあるのです。
では、正しいナンピンとはどのようなものなのでしょうか。
本間宗久翁曰く
西洋の投資家はナンピンを否定する傾向があるのに対し、日本の投資家はナンピンに積極的な傾向があります。
特に、古い日本の相場師ほどこの傾向が顕著です。
日本で投資の神様といえば、江戸時代の米相場で名を揚げた本間宗久でしょう。
この人が、ナンピンについて以下のような格言を遺しています。
「それ難平して利を遂げざるは、多く初めより難平する覚悟あらずしてその負け惜しみに難平する故なり。難平するものは初めよりその心当てをいたし、初め米少し仕掛けその米を助くるなり。その初めを少しにするは遠くに致す所なり」
ナンピンは計画的に
この格言から分かるのは、まずナンピンは計画的に取り組むべきものであること。
初めからナンピンを見込んで、相場の傾向を確かめながら、資金管理も徹底しつつナンピンするならば良いのです。
しかしナンピンで失敗する人の多くは、計画性を持たずにナンピンします。
よくあるのが、「下がった、損切りは悔しい、とりあえずナンピン…」というように、負け惜しみ的にナンピンすることです。
これでは「ナンピンしても利益は得られない」と本間宗久は言います。
試し玉を活用せよ
次に重要なのが、試し玉の活用です。
試し玉とは、値動きの強さなどを確かめるために、ごく小さなポジションを建てることです。
本間宗久は米相場で活躍した人ですから、試しに少しだけ米を売買することを「初め米少し仕掛け」と言っています。
初めに少しだけ仕掛けてみて、感触が悪ければ損切りしてもよし、地合が良ければナンピンしてもよし。
この判断基準やナンピンのペースなど、具体的な計画は「初めよりその心当て(計画)をいたし」で、当初立てた計画に沿って行います。
ナンピンで有利なポジションを作る
試し玉を建てた後、地合が良ければナンピンによって有利なポジションを作っていきます。
ナンピンは複数回にわけて計画的に行うことが重要です。
ナンピンの比率は、「1:3:5」または「1:2:3:4」が基本です。
最後のナンピンが完了した時点で投下した資金は、手元資金全体の3分の1を上限とします。
このナンピンによって、平均建値の低いまとまったポジションを作ることができます。
値上がりによって得られる利益が大きくなるだけではなく、その後の利乗せ(さらなる買い増しによって利益を高める)の際にも平均建値の上昇を抑えることができるのです。
本間宗久の言う「初め米少し仕掛けその米を助くるなり」とは、試し玉に対してナンピンすることで、より有利なポジションを作ることを意味します。
ナンピンの具体例
本間宗久翁の教えに沿って、理想的なナンピンの具体例を見ていきましょう。
1.試し玉を建てる
まずは試し玉を建てなければなりません。
ここでは、株価1000円で100株を買ったとします。
100株の平均建値は1000円です。
2.ナンピンで平均建値を下げる
その後、下落のペースは鈍化して保ち合い傾向に移りました。
一時的に大きく下げることもありますが、買いに入る投資家が増えているため価格がすぐに持ち直すといった状況です。
このような場合であれば、積極的にナンピンしていきます。
ナンピンによって平均建値がどれほど下がるか、2パターンみてみましょう。
【ナンピン比率1:3:5の場合】
株価 | 買い株数 | 投資額 | 保有株数 | 総投資額 | 平均建値 | |
試し玉 | 1,000 | 100 | 100,000 | 100 | 100,000 | 1,000 |
ナンピン① | 900 | 300 | 270,000 | 400 | 370,000 | 925 |
ナンピン② | 800 | 500 | 400,000 | 900 | 770,000 | 856 |
【ナンピン比率1:2:3:4の場合】
株価 | 買い株数 | 投資額 | 保有株数 | 総投資額 | 平均建値 | |
試し玉 | 1,000 | 100 | 100,000 | 100 | 100,000 | 1,000 |
ナンピン① | 900 | 200 | 180,000 | 300 | 280,000 | 933 |
ナンピン② | 850 | 300 | 255,000 | 600 | 535,000 | 892 |
ナンピン③ | 800 | 400 | 320,000 | 1,000 | 855,000 | 855 |
どちらの場合も、平均建値を約150円も下げることができました。
3.平均建値が低いと利乗せも有利に
平均建値が低ければ、その後の利乗せも有利になります。
ナンピンによってまとまったポジションを作った後、相場は上昇に転じました。
上昇トレンド・下落トレンドといっても、値動きは一直線ではなく、上げたり下げたりを繰り返しながらトレンドを描きます。
したがって、上昇中の一時的な下落は利乗せのチャンスというわけです。
「本玉3分の1、乗せ3分の1、逆売り3分の1」が資金管理の基本ですから、ナンピンで作った本玉と、利乗せの増し玉は同じ株数でなければなりません。
具体的には以下の通りです。
株価 | 買い株数 | 投資額 | 保有株数 | 総投資額 | 平均建値 | |
試し玉 | 1,000 | 100 | 100,000 | 100 | 100,000 | 1,000 |
ナンピン① | 900 | 300 | 270,000 | 400 | 370,000 | 925 |
ナンピン② | 800 | 500 | 400,000 | 900 | 770,000 | 856 |
増し玉① | 1,150 | 300 | 345,000 | 1,200 | 1,115,000 | 929 |
増し玉② | 1,400 | 300 | 420,000 | 1,500 | 1,535,000 | 1,023 |
増し玉③ | 1,700 | 300 | 510,000 | 1,800 | 2,045,000 | 1,136 |
900株の増し玉をしても、平均建値は1,136円に抑えられています。
これは、ナンピンによって本玉の平均建値を抑えた効果です。
もし、ナンピンせずに同じように利乗せした場合、以下のように平均建値が大きく上昇します。
株価 | 買い株数 | 投資額 | 保有株数 | 総投資額 | 平均建値 | |
試し玉 | 1,000 | 100 | 100,000 | 100 | 100,000 | 1,000 |
増し玉① | 1,150 | 300 | 345,000 | 400 | 445,000 | 1,113 |
増し玉② | 1,400 | 300 | 420,000 | 700 | 865,000 | 1,236 |
増し玉③ | 1,700 | 300 | 510,000 | 1,000 | 1,375,000 | 1,375 |
ナンピンした場合と、しなかった場合では平均建値が約250円も違うのです。
このように考えると、「ナンピンによってポジションが有利になる」という意味がよく分かると思います。
まとめ
ナンピンは諸刃の剣です。
このためナンピンを敬遠する意見も多いのですが、ナンピンの戦略的価値が非常に高いことも事実です。
ポジションを取る前にしっかり計画を建てること、試し玉から始めること、平均建値を抑えることを意識すれば、ナンピンが役立つことは間違いありません。
もっとも、ナンピンは「損小利大」のうち「利大」のための技法ですから、どちらかといえば応用に属します。
これから株式投資に取り組む人は、まずは試し玉や損切りなどを身につけ、その後にナンピンに取り組むことをおすすめします。
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