🌳脱炭素政策
脱炭素政策とは、化石燃料などの二酸化炭素(CO2)を排出しない、あるいは排出量を大幅に減らすことを目指す政策のことです。地球温暖化が進行していることが科学的に認められており、CO2等の温室効果ガスの排出がその主要な原因であることから、脱炭素政策が世界的に注目されています。
🌳具体的な脱炭素政策
1. 再生可能エネルギーの推進:太陽光や風力などの自然エネルギーの活用を促進し、化石燃料に依存するエネルギー源からの転換を進めます。
2. 二酸化炭素排出量の削減:省エネルギーや低炭素化技術の普及、交通手段の転換などにより、二酸化炭素の排出量を減らします。
3. キャプチャー技術の導入:化石燃料の使用が必要な場合には、二酸化炭素を捕捉・貯蔵する技術を活用することで、排出量を削減します。
4. 森林保全や林業の活性化:森林を保全することで、CO2の吸収量を増やし、気候変動対策に貢献します。
5. 地域の持続可能な発展:経済成長を目指しながら、CO2排出量を抑えつつ、地域社会の発展を図ることで、社会全体の持続可能な発展を目指します。
脱炭素政策は、地球温暖化防止のために必要不可欠な政策とされており、各国政府や企業、市民団体などが積極的に取り組んでいます。また、国際的な協力が不可欠な問題であるため、国連の枠組みである「気候変動枠組み条約(UNFCCC)」や「パリ協定」などが締結され、世界的な脱炭素化の促進が進められています。
日本の脱炭素政策
2020年10月、日本政府が発表した「2050年カーボンニュートラル宣言」では、2050年までに脱炭素社会を実現し、温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを目標としています。
世界初の移行国債「脱炭素の資金20兆円調達」政府発行へ
政府は、経済産業省や金融庁と連携し、新しい種類の国債※1「移行国債」(脱炭素※2 の資金20兆円調達)を「2023年秋の発行」を目指す方向で調整に入りました。
※1 集めた資金の使い道を脱炭素事業に絞った、中長期的な脱炭素へ移行するために発行する債券
※2 温室効果ガスの実質ゼロを目指すこと
この移行国債は、実現すれば初となるが、世界の潮流からは外れることになります。
日本 | 基準を緩めて二酸化炭素(CO2)の排出量を抑えた火力発電や原発関連も対象 |
欧州 | 主に再エネ投資に使途を限定しているのグリーン(環境)国債 |
移行債には、国際的な統一ルールがまだなく、2019年に仏運用会社の「アクサ・インベストメント・マネージャーズ」が自社のガイドラインを公表した他、日本では2021年5月に経済産業省などが基本指針を策定したことがあげられます。
日本での取組みとしては、以下のものです。
・銀行ローンを含めた「移行金融」の取り組みを支援。
・企業が投資計画を立てやすいよう、電力や石油、紙・パルプなどの分野で脱炭素の工程表を作成。
・日銀がESG※3関連の投融資をする金融機関に対して、金利ゼロ%で長期資金を供給。「気候変動対応オペ」※4 の対象にも移行金融※5が含まれる
※3 環境(E: Environment)、社会(S: Social)、ガバナンス(G: Governance) 企業が長期的に成長するために、経営においてESGの3つの観点が必要
※4 民間における気候変動対応を支援するため、適格担保を担保として、わが国の気候変動対応に資する投融資の残高の範囲内で、資金を貸付ける
※5 企業が「将来的な脱炭素に向けた設備投資や研究開発に必要な資金」を調達しようと株式や社債を発行したり、銀行から融資を受けたりする手法
「カーボンプライシング(炭素課金)」を導入
カーボンプライシング(炭素課金)とは、気候変動問題の主因である炭素に価格を付ける仕組みの事を言い、化石燃料の輸入業者への「賦課金」※6 と、電力会社に有償でCO2の排出枠を買い取らせる「排出量取引」※7 を組み合わせています。また、返済財源には、CO2の排出に課金して削減を促します。
※6 気候変動問題の主因である炭素に価格を付ける仕組み
※7 国や企業ごとに定めた温室効果ガスの排出枠を取引する制度(温室効果ガスの削減をより容易にする制度のひとつ)排出権取引とも言う
まとめ
財務省の機関投資家らへの聞き取りによると、外部評価を得るSDGs(持続可能な開発目標)国債の一形態としての発行に一定の需要があると判断しているようです。
また、比較的長期(10年債や20年債など)の国債とし、来年度は1・6兆円を発行する方針(今後10年で計20兆円)であり、通常の国債より低い金利で出すねらいです。
日本の長期金利は上昇傾向にあります。移行国債発行は、かなりの利回りが期待され、財政負担の軽減につながる可能性があります。